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新たなる座の試み―俳句とインターネット

 「俳句」という言葉で検索をかけると、たちまち何万件もでてくる俳句関連のページは、いまのところ、私はもっぱら「読者」の立場で楽しませてもらっている。すでにこの欄に登場した五島高資さんや大高翔さんのページも覗かせていただいているし、坊城俊樹さんが運営する伝統俳句協会のページも拝見させていただいている。
 その他によく見るホームページは、ふらんす堂のホームページ。出版社ならではの新刊情報のほかに、さまざまな読み物があって面白い。たとえば毎日更新される「中原道夫俳句日記」。これは、中原氏の最新作が毎日日付入りでインターネット上に掲載され、氏がその日どんな句を作られたか、リアルタイムで読むことができる。もう一つ、毎日更新されるのは稲畑廣太郎氏の「虚子の一句」。その日その日に合わせて選ばれた虚子の句に、虚子の孫である廣太郎氏のエッセイ風の短評がつけられている。
 詩人の清水哲男氏が主宰する「増殖する俳句歳時記」も面白い。このページは「俳句界」6月号でも紹介されたが、96年4月にページを立ち上げて以来、一日一句の作品評を掲載し続け、現在1520句の俳句を季語・作者・日付で検索できるようになっている。さらに種々のキーワードでも検索できるようになっていて、現在では日に600件ものアクセスがあるという。
 そもそも私が仕事以外に家にパソコンを置きたいと思ったのは、その機能を使って、気に入った句だけを集めた私設歳時記(?)を作りたかったのである。最新の句集や雑誌から自分の好きな句だけを書き抜いて、一句に対して複数のキーワードをつけ、自在に分類・検索できるようにする。
 たとえば雨の日に窓の外を眺めながら、「雨」のキーワードで検索した、お気に入りの雨の句ばかりを読んでいられたら、こんなに贅沢な時間はない。
 それから、「俳句とインターネット」というテーマで言えば、忘れることのできないのはインターネット句会。これは、席題や期日が電子メールで知らされ、期日までにメールで投句、その後、句会の主宰者が纏めて下さった句稿を選句、その結果がインターネット上に掲載される。
 インターネット句会は通常の句会のように、いわゆる「座」を共有するということはないが、ネット句会にはネット句会の「新たなる座」がある。
 インターネットの功罪はいろいろと言われてはいるが、その利点も欠点も知ったうえで使いこなすなら、新たな可能性をもった便利なツールと言うことができるし、また、そのことで俳句の本質自体が変わってしまうとは、私には思えないのである。
   (「俳句研究」1999年11月号掲載)

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